蛍
息子は高総体で長崎泊り、家に帰っても誰もいない日曜日の夜、仕事帰りにまっすぐ近くのダムまで車を走らせてみた。ダムに流れ込む渓流を少し上がると、そこはたくさんのホタルの乱舞が見られるとっておきの場所がある。家族で毎年のように見に行くようになったのは何年前からかなぁ~。
誰もいない橋の上は、微かに小川のせせらぎが聞こえるくらいに静かで、次第に暗闇に目が慣れてくると、50はゆうに越える淡い光が、あそこにもここにもふわりふわりと瞬いているのがわかる。
こゑはせで身をのみこがす蛍こそ いふよりまさる思なるらめ【源氏物語第二十五帖 蛍の巻】
鳴く声もなく身を焦がす 蛍のような気持ちこそ どんな言葉よりも深く強いものなのでしょう
古人が歌った儚く切ない恋歌のような感情をふと思い出す・・・。
淡雪が舞うように・・・、たくさんのホタルがまるで一緒に呼吸をしているかのように、同じ間隔で命の光を放つのをただぼんやりと眺めながら、静かな幻想世界に浸ってみる。
年に一度の蛍の舞いは、桜の花びらが散るように、今この瞬間を生きている、自分の命の存在に気づかせてくれる・・・。
僕の住む家の近辺にも、まだまだこんな自然が残っています。
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